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イルカ17歳レモン色の暗部日記

10月14日 曇り
ハヤ…いや、マリ子さんはヴェルサイユに入った。
ちぇー、ショコラに来て欲しかったなあ。
ボルジアの君は新人のマリ子さんにかまい通しなので、遊び相手もいなくなった俺は薫の君に稽古をつけてもらうことにした。焼死してしまうかと思った。

10月13日 曇りのち雨
朝早くからお姉さま方と部屋の掃除をし、いつもより豪華に花を飾った。ああ、俺が来た時もこうやって迎えるための準備をしてくれたのかしらん。
蕗子様が新人を伴なって来た。
わ〜、後輩後輩!
俺どの部署でも下っ端だったから後輩って初めてなんだよな!
栗鼠の面をつけた新人君は部屋に入った途端固まった。
あはは、気持ちよくわかるなあ。フリルだもんな。手作りのポプリとかもあるし。
蕗子様が「皆さんこちらにいらして」と言ってパンパンと手を叩いたので、皆いそいそと集まった。(サン.ジュスト様と薫の君はだらーとソファに腰掛けたままだったけど。ほんと協調性ない奴らだな!)
「こちら、今日から仲間になるマリ子さんよ。うふふ、子猫ちゃんって呼んであげてね」
正直どこからつっこんでいいかわからないよ。
新人君もえっという風に蕗子様を見上げた。
そうだよな、マリ子はともかくなんで栗鼠なのに子猫なんだって思うよな。むしろ猫面の俺が子猫ちゃんだろ。いやまあそんな呼ばれ方は嫌だけどさ。
しかもマリ子も渾名なのにさらに子猫ちゃんという渾名をつけるなら、最初から子猫ちゃんだけでいいんじゃないだろうか。
挨拶なさって、という蕗子様の言葉に、口を開いた新人君はいきなりむせた。
「げほっげほっ、ええと、げほっ、今日からお世話になります、げっ、あ、いや、ま、マリ子です。ごほっ、よろしくお願いします。ごほっ」
…………俺、こいつ知ってるかもしれない。
「プペです、よろしく」と言ったら向こうも「あ」と声を出していた。
やっぱりそうかー。頑張ろうな、お互い。

10月12日 晴れ

じいちゃんちの警備当番。ほんとめんどくさい。つかてめー里最強なんだろ?警備なんていらねーだろ?

新人が来るらしい!やった!後輩後輩!

10月11日 晴れ

薫の君がこのところふさぎ込んでいたのは、サスケ君に口答えされたのがショックだったためらしい。……ほんとにサスケ君のこと好きなんだな。

サン・ジュスト様が酒臭い息をはきつつグッタリしていた。この人も昨日酒盛りとかに参加したのかしら。つか忍びが二日酔いかよ。俺を見習え、俺を。でも本当に辛そうなのがちょっと可哀想だったので、自作のミント味のタブレットをあげた。ぎゃ!といって飛び上がるほど元気になっていた。

10月10日 晴れ

ぽーんという音で眼がさめた。あれは狼煙をあげる音だ。その事で今日が父ちゃんと母ちゃんの命日だった事を思い出した。最近忙しかったからすっかり忘れてた。ごめんよ、父ちゃん母ちゃん。

この日、里はある意味賑やかになる。あちこちで弔いの花が散布され、色とりどりの狼煙が上げられる。狼煙は死んだ人へのメッセージだ。俺は白を上げた。花はまかなかった。母ちゃんが花を大事にする人だったので、まき散らしても喜ばないと思ったからだ。昼をすぎた頃、アスマ兄ちゃんがうちにやってきて狼煙を上げた。アスマ兄ちゃんは母ちゃんの部下だった時期があったので、こうやって母ちゃんに言葉を贈るために毎年来てくれる。いつまで来てくれるのかな。いつまででもこうやって来てくれたら嬉しいな。帰り際、慰霊碑に行くけどお前も行く?と聞かれたが、一人で行きたいので断った。これも毎年の事なのでアスマ兄ちゃんは苦笑しただけだった。
慰霊碑には人がはけるだろう夕方を待って行く事に決め、それまでは一楽で時間をつぶすことにした。一楽には礼服のおっちゃんが二人いるだけだった。あの子供の影を探したが、いるわけがなかった。今日はあの子供は外へは出れずにじーちゃんちで膝を抱えているに違いない。何かあった時、せめて自分の力で逃げる事ができるまで、この日、あの子供は閉じ込められる。酷い話だ。ラーメン券を上げたのでさぞかし通っているものだろうと思ったが、一楽の親父の話では、店先には来るけど食べては行かない、ということだ。首を傾げたら「ラーメンはお前さんと食べるものだと思ってるんだろうよ」と言った。照れや嬉しさや愛しさでうぎゃー!と声が出た。テーブル席のおっさんがふいた。ごめんごめん吃驚させて。

家に帰り、風呂に入って身支度を整えた。なんで12の時作った礼服がまだ着れるんだろう俺。ねえねえなんで?
黒の髪紐をなくしてしまったので仕方なくざんばらで慰霊碑に行った。日がほとんど落ちてしまった慰霊碑には俺だけだ。ちょっと寂しい。でもここに来ても無駄に辛くならないのは形見の影干しをするようになったからだろうか。何も考えられずぼんやりと慰霊碑に刻まれる名前を追っていたら、ふと温かい気配を感じた。振り返ると礼服姿の男が、小さな灯篭を持って立っていた。場所を譲ると、男は跪いて灯篭を慰霊碑の前に置き、誰かの名前にそっと触れた。そして「灯篭の作り方を教えてくれた子がね、ここにいるから」と言った。その優しいような寂しいような声に立ち去った方がいいかな、と一歩後ろに下がったら、「暗くて怖いから行かないでよ」と言われた。灯篭の明かりが逆光になるせいで男の顔がよく見えないが、えらく整った雰囲気がある。微笑んだ気配がしたので、ついつい、男の隣に両膝をついた。ついたもののどうしていいかわからなくて黙り込んでいたら、男が「あの子供、いつも一楽であんたを待ってるよ」と言ったので吃驚した。「優しくするのはいいけど、裏切らないようにね。それができないなら最初から無視する方がいい」こちらを向いた男の顔を間近で見て、俺は、あ、と声を出した。俺、なんかこの人に説教した事があるよな。あの時、あまりにも気持悪い事を言うので真意も確かめず説教したけど、もしかしてこういう事を言いたかったのか、この人。ちょっと感心してじっと顔を見ていたら、男は苦笑して俺の手を握った。「説教返し。んで御褒美返し」そして握った手になにかを乗せられる。赤い包み紙の飴玉だ。気恥ずかしくなって俯いた俺の手をペイと落として、男はその場にあぐらをかいた。「ここにはねー、俺の先生と親友と初恋の女の子がいるの」と軽い調子で言うので俺も「父ちゃんと母ちゃんがいる」と教えた。その後、酒を持ったおっさん達がわいわいとやってくるまで互いの思い出話をした。今まで慰霊碑にはかたくなに一人で来るようにしてたけど、こうやって誰かと来るのも悪くないなと思った。来年はアスマ兄ちゃんの誘いに乗ってみようかな。

ちなみにおっさん達の酒盛りに巻き込まれてほとんど徹夜だ。出勤まで後2時間。ありえねー!

あ、あの人に名前聞くの忘れてた。聞いとけばよかったなー。

10月9日 晴れ
今朝早く今浜領主御一行が旅立った。途中までそれを見送って、その後、ようやく解散となった。ハー、みんなお疲れさまー。見送りからの帰り不審者を追いかけたりしたが、戦闘になる事もなく、無事に帰宅した。疲れたよ、ほんと。明日は久しぶりの休暇だ。一楽に行かなきゃな!

10月8日 晴れ

明日帰るらしい。ようやくかよ。
今浜領主が今日は里の見学をしたいとか言い出したので、慌てて警備体制を変更し、整えた。急に言うなよな〜。
今浜領主は大名らしくなく馬には乗らずに徒で里を回った。田畑に目をやり畦や農水道をしげしげと眺め、商店街では路地を覗きこんで、家臣の一人と熱心に話し込んでいる。変な殿様だなーと思っていたら近くにいた佐助さんが、「街作りがお好きな方なんだよ」と教えてくれた。なるほどなー。警備する忍びはぴりぴりしっぱなしだったが、今浜領主御一行は終始機嫌よく楽しげに里を回っていた。途中、あの子供を見た。子供はうっかり一行に近寄ってきた所を、正規部隊の多分中忍の男に思いきり蹴り飛ばされていた。思わずカッとなったが、持ち場を離れるわけも行かずハラハラと見るだけでいたら、何やら罵倒しながらさらに手をあげやがった。殴られる…!と思ったのだが、その時拳大の石が飛んできてがつんと中忍の頭に当たった。なんだ?どこから飛んできたんだ?子供は中忍が頭を抱えて倒れこんだ所をあわてて逃げていった。うう、追いかけたい。追いかけていって撫でてやりたい。じりじりしていると、中忍にサン・ジュスト様が近寄って、「品性疑われる事するんじゃないよ」と言って軽く殺気を出した。ん、もしかしてあの石はあのエロい人が?ちょっと見直した。それを言ったら「ちょっとってなによ、そこは、さすが貴方ですね、素敵ですぐらい言いなさいよ」と言われた。そこまで心にない事は言えねえよ。

薫の君、ほんとどうしたんだろうなー。

10月7日 晴れ
へとへと〜。
いつ帰るんだよこの人達。

10月6日 晴れ

へとへと〜。

佐助さんとお話した。ちっこいので若いんだと思ってたら俺よりかなり年上みたいだ。
佐助さん達は今浜領主のお抱えではなく、今浜と仲のいい支那野の忍びだそうだ。正確にいうと支那野領主の次男の、だ。次男はお上に養子という名目で出された人質だったが、お上に子供がいないのと、彼自身が利発で器量よしであったために、かなり可愛がられているらしく、手練の忍びを抱える事すら許されているらしい。で、今は逢阪ではなく今浜に客将として滞在しているとの事で、丘咲が不穏な動きを見せている事もあり、普通ではありえない忍びの貸し出しが行われたのだそうだ。
大変ですね〜と言ったら、「そうでもない。殿が気持よく思っておられる方なら守り甲斐があるからな」とキリッとしていった佐助さんはかっこよかった。
うーんなんだろな、なんていうか根本的に考え方が違うんだなあと思った。俺達が職人なら彼らは芸術家だ。やりたい事をやってキラキラしている。…………ああなんかもやもやするなあ。

薫の君はなんだかここの所ずっとふさぎ込んでいる様子なので、サン・ジュスト様にもやもやを聞いてもらった。キラキラできないのは環境のせいじゃないでしょ、自分のせいでしょ、と軽く怒られた。
…まともな事言えるんだなこの人。

10月5日 晴れ

へとへと〜。
そうも毎晩毎晩話す事があるよ、まったく。

お抱えの晴海さんとお話した。とても話しやすい人だ。おかまだけど。蕗子様に合わせてあげたいなあ。
お抱え忍びのメリットとデメリットについて色々話してくれた。メリットは「主人を持てる事」デメリットは「休みがない事」だそうだ。晴海さんは主人のために命を捨ててもかまわない、と言うので、俺は里のために命を捨ててもいい、と言った。言った後で、いやいやそこまで覚悟できてないだろう、というか考えた事ないだろう俺、と思ったけど、なんか悔しいので訂正はしないでおいた。

ううむ、もやもやするなあ。


10月4日 晴れ
へとへと〜。
呼んでくれたら行くのに、と思ってたけど、今浜領主の持ってきた話を聞くと、ああ、こりゃ確かにセキリュティが完璧である里じゃないと話せないなと思った。ふうん、なるほどなー。「戦になったらやですねー。俺、戦なんて経験した事ないです」とサン・ジュスト様に言ったら「忍びの闘い方と武将の闘い方は違うからねー。正直ね、忍びの出る幕なんてほとんどないよ。ほんとできる事と言ったら物見くらい。だからあんまり心配しなくていいよ」と珍しく饒舌に教えてくれた。今浜領主の話に結構エキサイトしているらしい。つかこの人はそういう戦を経験した事あるのかなー。気になる。聞けばよかったな。
今浜ご一行が滞在する間、表では正規部隊が、裏では暗部が護衛する事になっている。一日一交代。チームショコラは夜の部だ。やだなー、しんどいよー。お抱え忍び連れてきてるんだから護衛はそっちにまかせたらいいのにー。もー。

10月3日 晴れ

来客は今浜の領主だった。領主に家臣が5人だ。しかもお抱え忍び付き。なんだなんだこの物々しさは。
はー、そりゃ警備も厳しくなるわなー。
今浜の領主は今の火の国を裏で支えている一人と言って過言はない大名だ。お上がまだ一大名だった頃からその右腕として活躍してきた能吏で、里的には、多分お上の次に逆らえない人なんじゃないだろうか。うーん、丘咲と今浜は今一触即発の状態だと言うし、最近無印の忍びが躍起になって侵入しようとしてたのはこの来里のせいかもしれない。何の用か知らないけど、五影定例会議も控えているこの時期にはた迷惑だなー。わざわざ来なくても呼んでくれたらいいのに。あー、夜の天井裏やだよ〜。あそこ、蜘蛛いるんだよなー。

覚書
今浜お抱えの方々
ちっこい人。リーダー。→佐助さん(薫の君が名前に反応してた)
背の高い男前→才蔵さん(俺、こんな感じになりたいなあ)
ニコニコ優しげな人。地味。→六郎さん(今浜名物の御菓子をくれた)
でかい人。巻き毛→晴海さん(おかま?)
でかい人。つんつん頭→伊三さん(なんか知らないけどにらまれた)

10月2日 晴れ
明日から火影邸に来客があるので警備の打ち合わせがあった。暗部員6人に加え、正規部隊の上忍中忍があわせて10人も投入されるみたいだ。なんでこんなに多いの?隊長の蕗子様はまだ本調子じゃないので、かわりにサン・ジュスト様が暗部員の指揮を取る事になった。うーん、手書きのエロ小説を何度も何度も熱心に読み込んでいる頭の可哀想な人より薫の君の方がよっぽど指揮官に向いてると思うんだけどなあ。まあ、その薫の君もなんでか昨日からえらく落ち込んでてなんだか上の空だけど。
正規部隊の方はアスマにーちゃんが指揮するらしい。いいなー、俺もあっちがいい。紅さんもいるしなあ。あー、彼女は今日も美人でした。母ちゃんに似てる気がする。なんか。

10月1日 晴れ

サン・ジュスト様に「これ他には持ってないのか」「どこで手に入れたんだ」としつこく聞かれたので、「父の形見です」と言ったら黙り込まれて、イチャイチャパラダイス(以下イチャパラ)を突っ返されそうになった。いや、気まずくなられたくはないんだけど…。意外と気を使っちゃう人なのかもしれない。

薫の君がなんだかしょんぼりしていた。

9月30日 晴れ
蕗子様達が復帰したので、ささやかなパーティを行った。下っ端だという理由で俺が料理を作る事になった。隊服姿の蕗子様を見るのは久し振りなので、ついつい調子にのって作りすぎてしまった。残った物をタッパに入れて持ち帰るお姉様方達。見た目に反して庶民な事するなあ。

9月29日 台風一過

昨日の台風でまたトラップが壊れてやしないかと期待したのだが、どうやらどこも無事だったみたいだ。チェ。

父の形見のエロ本を引っぱり出してきて、サン・ジュスト様に半分あげた。汚い冊子(しかも手書きだし)に怪訝そうにしてたけど、いざ手に取って読みはじめたら面白かったようで、待機中ずっと黙々と読んでいた。良かった、お気に召して。

腕立て伏せ、意外と疲れるなあ。

9月28日 台風上陸
強い暴風雨の中、侵入者あり。おいおい、こんな日にまで来るなよ〜。
サン・ジュスト様は侵入者に八つ当たりして大業を連発していた。
途中千鳥という技がうっかり近くに落ちてきた雷をまっぷたつにしていた。いやいやまじで。ほんとにまっぷたつ。
俺、この人には逆らわないでおこう。
エロ本も弁償しておこうかな…。

9月27日 台風接近
サン・ジュスト様がものすごく怒っている。

9月26日 晴れ

今回の五影定例会議の会場は木ノ葉に決まったらしい。なんか面倒くさそうな事言われそー。

今日も侵入者がいた。いざ出動!と思ったらサン・ジュスト様に「お前は来るな」と言われた。なんで〜?薫の君までが「本調子じゃないやつは足手まとい」とか言うし。うう、そうかもしれないけど…。ぽつんと一人待機所でただ待っているのも寂しいので掃除した。するとソファの下から持ち主不明のエロ本が大量に出てきたので処分した。うん、スッキリした!

9月25日 晴れ
久しぶりの出勤。
サン・ジュスト様に添削したエロ本を渡したら、熱心に読んでいた。
顎の所から赤いものがたれているのが気になった。……あんたもしかー鼻血たらしてない?

9月24日 雨のち晴れ

退院した。暇だなーと思ってたけど、いざ退院となるともうちょっとだらだらしていたかったなあとか思うあまのじゃくな俺。母親譲りです。

とりあえず家に帰り、風呂に入った。風呂入れさせてくんねえんだもんなー。は〜、生き返る〜。
その後はもちろん一楽へゴー。
その道すがら、またあの子供に会った。今日は怪我とかは無いようだ。せっかく会ったので一緒にラーメンを食べた。箸の持ち方がなっていないので教えてやっていると、おっちゃんが「こいつ、毎日夕方になると店の前であんたを待ってるんだよ」とこそこそ言ってきた。うはあ、なんだそれ〜!やべえ!ぐあーと何かが胸に競りあがってきたので、俺はその気持ちをぶつけるように、箸と格闘している子供の頭をぐしゃぐしゃ掻きまわした。なんだよチクショウ、もううちの子になるか?!
別れ際、ラーメン券を半分やった。もともと貰うのは10枚綴りのつもりだったしな。うん、これはお前が使え。
子供は大きな眼をさらにぐりぐりにして券を凝視していた。変な顔だった。

9月23日 雨

暇だ暇だとぼやいていたらサン・ジュスト様が本をくれた。もちろんエロ本だ。興味がないこともないので早速読んでみたがイマイチだったのであちこち修正してみた。つか見舞いまでエロ本かよ。ほんとに可哀想な人だなあ。

明日退院だ!やった!

9月22日 晴れ

気がついたら暗部に入って2ヶ月目をすっかり過ぎていた。入れ墨はいつ入れてくれるんだろうなあ。日記を読み返して、腕立て伏せしようとしていたことを思い出した。退院したら始めよう。

また侵入者を捕まえたらしい。つか侵入してどうするつもりだよ。

あー、暇だー。ラーメン食いて〜。

9月21日 台風それた
アス…いやモナ…、いやいや、アスマにーちゃんと紅さんが見舞いに来てくれた。つかなにー、なんで二人御一緒なわけー?と思ったが、紅さんが見舞い品だと言ってサイドテーブルにどんと置いた物を見て何となくわかったようなわかりたくないような。
焼酎の一升瓶って……。俺めっさ病人なんすけどー。

9月20日 台風接近
無印の忍びは丘咲のお抱えだったらしいですわよ、奥さん。

9月19日 晴れ
蕗子様が尋問部の助っ人に出ているらしい。
尋問部の制服が似合いすぎていてちびりそうになったことは秘密秘密。

9月18日 晴れ
サン・ジュスト様がラーメン券20枚つづりをくれた。太っ腹だなあ!
ほくほくしていると、血と泥のついた紙切れによれよれの字で作ったなんでも券をピラッと見せられて、あの赤い頬の鳥を呼んでくれ、と言われた。赤玉のことかな?呼び出した時反応してたもんな。つかその券本気で使っちゃうんだ…。さすがに誕生日の贈り物がそれじゃアレでナニなので作り直すと言ったらこれでいいと固辞された。……自分の血にまみれたものを持たれるのは嫌なんだけどなあ。
赤玉を呼び出したら彼はかなり不機嫌だった。怪我したとはいえほったらかしになってたからね。ごめんね。ムクーとしている赤玉にサン・ジュスト様はメロメロの様子だった。意外と可愛いもの好きらしい。あとでやってきた薫の君もメロメロになっていた。俺そっちのけだよ。魔性の鳥め!

9月17日 雨

全治1週間。
……おいおい、1週間しか休めねえの?腹ざっくりやられてんだよ?いやもうふさがりかかってるけどさ。医療技術のレベルの高さも問題だなー。

暗部の人が見舞いにくる度に面をつけなきゃいけないのがウザイ。いいじゃん暗部同志なら面割れてもさー。

9月16日 雨

昨日、またまた侵入者ありとの連絡を受けて出動した。
一体どこのどいつだコンチクショー!
しぶしぶ薫の君、ボルジアの君、白髪と4人でトラップ反応のあった北の森へ入ったら、使い鳥がきて、東からも反応ありという情報を落としていった。それを聞いた瞬間、薫の君がバッと進路変更し、あっと思う間もなくボルジアの君がそれに倣った。……ウワー、俺白髪とかよ。まだ白髪を無視している俺だったが(だって謝らねーんだもん!)仕事を滞らせるわけにはいかないので大人しく奴についていった。反応のあったトラップ付近にはもちろん人影はなく、気配もない。くそ、俺の作ったトラップなら絶対逃がしやしないのになあ。白髪が忍犬を口寄せしたので、俺も策敵させるために鳥達を呼んだ(白髪が愛くるしい赤玉にちょっと反応していた。無視したけど)。それから俺達もふた手に別れ森の中を探ることになった。敵はトラップの発動の方向から考えて、東に移動したと思われた。東の森での反応はもしかしたら同一人物かもしれない。そうだといいんだけどなー、楽できるんだけどなー、と思いつつ走っていると、はやくもヒヨドリの一八(いっぱち)から侵入者発見の知らせが入った。しかもそれはすぐそばで、なんと3人もいるらしい。いや〜ん。ムリムリ、オレ今日腹痛いんだよ。湿気が多いせいで傷がシクシクするんだよ。でも逃すわけにはいかないので、一八に応援を呼んでくるよう頼んで、戦闘体勢に入った。とりあえず手近のトラップを発動させる(たいてい手動でも動かせるようになっているのだ)糸を斬る。トラップは不発に終わったが、乱れた気配を複数感じた。ン〜?一八ちゃん、あきらかに3人以上の気配を感じるんだけどなあ。3人ならなんとかなるかもと思ったのにそれ以上なら一人じゃ絶対無理だ。あわててその場を離れようと体をねじった瞬間、腹がシクッときた。思わず呻いてしまい、そして離脱のタイミングを逃してしまった。目の前すれすれを横切った手裏剣に、相手が近くにいること、そしてさほどレベルが高くないことを知る。俺は印を切って近くのトラップを発動させた。バラバラと毒をぬった千本が雨のように降り注ぐのを必死で避けて、木陰に隠れ息を整える。敵もよけたようだ。だが乱れた気配でその人数がわかった。下忍の上レベル〜中忍の下レベルが6人だ。あー、ムリムリムリ。コンディション最悪なんだから絶対ムリ。生け捕りは諦めて、俺は木に登り、あたり一面に起爆符をばらまいた。風遁で軽く竜巻きを起こし、起爆符を発動させる印を組む。追い風を起こしたとはいえ熱風に絡まれるのは必至なので、発動した瞬間に後方へ跳んだ。しかし爆発の勢いに追い付かれ、俺は体勢を崩し、木の幹へ体を叩き付けられた。一瞬息が止まったかのようになり、俺はしばらく動けなかった。頭がグラグラする。でも敵は今やあの炎の海の中だ、と俺はすっかり油断して、その場でうずくまっていた。なので近付いてきた気配に気付いた時には遅かった。飛んできた苦無にまず腿をやられた。続けて抜かれた刀に腹をやられた。よりによって怪我していた所だ。塞がり切ってない腹の傷は簡単に弾けた。吃驚するほど血が吹き出て、しかも目の前には炎を背景にシルエットしか伺えない忍び。多分上忍だ。さすがに死ぬと思った。上忍(推測)が腕を振り上げた瞬間、俺は反射的に眼を閉じて思わず叫んだ。
「母ちゃーん!」
叫んだ後で自分でもこりゃいかんと思ったが、逆に上忍(憶測)を戸惑わせることに成功したようだ。眼を閉じていても逡巡したのがわかった。その直後、言葉で言い表せない恐怖を感じた。凄まじい殺気だ。でもこれは上忍(きっと)のものではない。そしてどすーんという音。恐る恐る眼を開けてみると、そこには泡吹いて倒れている上忍(多分。額宛は無印だ)と、ちょっと焦げた白髪の人。うわあ。「お母さんじゃなくてごめーんね」うわああああああああああ!

すごい勢いで燃えている森を、白髪は派手な水遁の術で消し、それから貧血になりかけでふらふらの俺をおぶった。そしてぼそぼそと「悪かったね」と言った。何に対して謝っているのかわからないけど助けてもらったのでエロ本のことは一楽のラーメン券10枚つづりで許してあげます、と言った。すると「誕生日に他人にものをあげなきゃいけないなんて」というので、俺は背負われたままポーチから紙切れとペンを出し、『なんでも券(10回分)』と書き、これ誕生日プレゼントです、と言った。…言った、と思う。そこら辺からの記憶が曖昧で、気がついたら病院のベッドの上だった。蕗子様(面無し)に覗き込まれてて心底驚いたのは秘密だ。

北の森は半分が焼けてしまったそうで、今日俺はベッドの上でじーさまに散々お叱りを受けた。

覚書
ラーメン券を絶対に受け取ること

9月15日 曇り

〜9/14

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